第4章 姫の日常
初日は......楓乃。
姫様としての知識をつけてもらうとの事で、無茶しない程度に座学を学んでいた。
「では、まずはそれぞれの名前についてはご存知ですか?」
「名前...幼名なら...」
「ではまずはそれを答えてくださいませ」
「あ、うん。信長様が吉法師...さん、秀吉さんが木下藤吉郎さん...光秀さんが彦太郎さん...政宗が梵天丸...家康が竹千代...三成くんが佐吉...で合ってる?」
「はい、その通りでございます。それともうひとつ覚えておいてくださいませ。普通なら御名前で呼ばないのが失礼に当たらないんです。ただ御館様達は姫様には御名前で呼ばれるのが好きみたいなので、そのまま御名前で呼ばれてくださいませ」
「名前じゃないなら...何で呼ぶの?」
「はい、御役職で呼ばれます。それについても教えましょうか?」
「お願いします...!」
「分かりました。御館様は三郎様、次に秀吉様は筑前守様、光秀様は惟任日向守様、政宗様は越前守様、家康様は三河守様、三成様は治部少輔様と呼ばれております」
「そうなんですか......なんか呼びにくいですね...家臣である皆さんはそう呼ばれてるの?」
「いえ、その場合は御館様が主だと思いますよ」
「そうなんだ...名前、長い...覚えれるかな...」
「ではこうしてはいかがでしょう?覚えるまでの間、役名で呼ばれては?」
「!確かに覚えれるかも!ありがとう!楓乃」
そう微笑むと楓乃も微笑み返してくれた。
それから役名で呼ぶようになり、勿論、かなり機嫌は悪そうだったけど。
名前で呼べと怒られました。
武将から睨まれるなんてそうそうないから新鮮だったけど。