第2章 胡蝶蘭~すべてのはじまり~
───西暦20××年。
京都、本能寺跡。
石碑がぽつんと立っていた。
「ここが本能寺跡地...みたい」
「へぇ...って石碑だけじゃんか」
「......」
騒ぐ2人と物静かな1人。
騒ぐ2人は和気あいあいと話していた。
その一方で物静かな子はただその2人に付き添っていた。
2人が覗くパンフレットの中には本能寺変、織田信長討ち死に...と。
本能寺と聞けば歴史が好きな人なら本能寺の変を思い浮かべるだろう。
ただ、物静かな子は本能寺にも興味を示すことは無かった。
「...りっちゃんはどう思う?」
「なにが」
「だから!ここで織田信長がやられたんだよ?なのに石碑しかないんだよ!...そもそも...」
それから永遠と続きそうな歴史の解説をしようとする彼女にもうひとりの子は興奮気味だった。
そう話しているとある男が石碑の前に来ていた。
物静かな子は興味無さげに2人と男を見ていた。
そうしていると、ぽつりぽつりと雨が降り出した。
「......雨...?」
「え、傘持ってないよ...」
「どうする??」
「...大丈夫ですか?傘、持ってますか?」
「あ、いえ......持ってな...」
そう、話していた時だった。
ピカゴロゴロ...ドカーーーーん。
「「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」
雷が落ちた。
その途端、ぐにゃりと空間が歪み、意識も共々吸い込まれていった。
そう、ふたりの悲鳴とともに。