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イケメン戦国~美しき乱世に舞う~

第3章 胡蝶蘭~嫌がらせと久しぶりの対面~




真っ黒い闇の中をドロドロになっている足元で進んでいく。

先の見えない闇の道をただ歩いていた。
足元もおぼつかず、ただひたすらに。
昔から孤独の似合う子供だと言われていた。
誰からも牽制され、いつもひとりぼっちだった。

たとえ、友達が出来たとしていずれは離れていった。
家族からも疎まれ、学校からも気味悪がれ...もうどこにも居場所など無かった。


ふと気づき目を開くと、どこかの天井。


あぁ、またあの夢を見たのかとさえ思った。
そして、ここは先日から寝泊まりしている、かの織田信長のいる安土城らしい。

詳しいことは聞かされてはいないが、怪我の影響か発熱が何日も続いていて、その度にあの悪夢を見るようになっていた。

「失礼致します。お目覚めでしょうか?」

「あ、楓乃...さん」

ここの所、付きっきりで面倒を見てくれる人。
たまに徳川家康って人も来てる。診察するためらしいけど。
それ以外は来ることも無い。
この熱が下がればこの安土城からは追い出されるだろう。
いつもそうだったから。
ひとりは慣れていた。

「...六花様、楓乃とお呼びくださいませ。敬語もいりませぬ」

「...あ、ごめん、なさい...なれなくて...」

「朝餉の前にお体を拭きましょうか」

「あ、お願い...」

そう言って寝間着を脱いで楓乃に背を向ける。

きっと痛々しいだろう傷痕があるだろう。
またひとつ傷痕ができたとしか思えなかった。


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