【進撃の巨人】人類最強と死にたがり少女【リヴァイ】
第9章 約束と方針
「そういうお前は誕生日わからないんだっけか?」
「ああ、はい。そうなんですよ。冬頃だということはわかっているのですが……」
もうぼんやりとしか覚えていないが、母の友人と母が話していたのだったか。
『いつ生んだの?』
『あー確か冬頃だったかしら……』
『堕ろす堕ろす言ってたのに、結局堕ろさなかったのね』
『まあ堕ろすにも金がいるしねー、それに体へのダメージも大きいらしいし、客取れなくなったら事じゃない?』
「…………」
顔は曖昧にしか覚えていないのに、妙に着飾ったあの後ろ姿だけはよく覚えている。
『おかあさん………』
……嫌なことを思い出した。
俯いていると兵長が小さく口を開く。
「……じゃあ、一緒に祝うか」
「え……」
一瞬何を言っているのかわからず、私は兵長を二度見する。
「丁度俺も冬だしな。……嫌ならいいが」
「い、いえ!!嫌なんかじゃなくて、その……」
むず痒い。どう表現していいかわからない感情に胸が満たされる。