【進撃の巨人】人類最強と死にたがり少女【リヴァイ】
第8章 距離
「というかてめぇはこうなること、大方読んでたんだろ?」
「まあな、ただもっと、形だけのものになると思っていたよ」
形だけ、つまり、身体だけの関係。確かにその方が合理的ではあっただろう。心はシアルに忠誠を誓ったまま、寂しさを紛らわすためだけに他の男を使う。
エルヴィンの想定外はおそらく、俺の方が思った以上に惚れ込んだことだろう。
「リヴァイの方が惚れ込むとは、珍しいこともあるものだな」
「そうそう珍しいと言えばねぇエルヴィン、リヴァイが食堂でさぁ、アリスを目で追ってる姿とかすっごい面白いから!!あとオルオとか他の男兵士と話してるときの目とか……」
「ハンジ、それ以上喋るんじゃねぇ」
ハンジの鳩尾に一発入れる。
「……らしくねぇのはわかってんだよ。俺だって30にもなってガキに惚れるなんざ想定外だ。……ああエルヴィン、俺もアリスも此の先どうこうなって兵士をやめる、なんてことをするつもりはねぇから仕事はこれまで通りで構わない」
「ああいや、いいんだリヴァイ。私はただお前のそういう人間らしいところが見れて逆に嬉しいくらいだ。お前たちがこれからどうするかはゆっくり考えていけばいい。お前たちの人生だ、別に無理して兵団にとどまる必要はないからな」
そう言いながら笑うエルヴィンはアリスのいう悪魔の団長なんかじゃなく、楽しそうに部下の話を聞くただの1人の人間だった。