【進撃の巨人】人類最強と死にたがり少女【リヴァイ】
第5章 存在価値
「あ、助けていただいてありがとうございます」
「お前、そんなことよりその腕……」
アリスの腕に手を伸ばすと、逃げるように俺の手を振り払う。
「っ……すみません。あはは、触らないほうがいいですよ。汚れちゃいますから」
まるで自分の血が汚い、とでも言いたげな顔だ。俺はやり場の失った手をゆっくりと引っ込める。
「……とっとと医療班のところへ行け、」
「このくらい平気ですよ。それよりさっき中央の方で黒い煙弾が上がっていました、きっと奇行種が……」
「いい加減にしろ!!」
自分の体の損傷など意にも返していない様子で、ただ俺の声にキョトンとする。
何故泣かない。
何故痛いと言わない。
何故、助けを求めない。
「……チッ。お前はさっさとその血みどろの右半身を治療してもらってこい。今日は壁に帰るまでもう戦うな。どちらにせよその装備じゃお前はもう戦えねぇ。今回に限りお前を討伐班から外す。これは命令だ」
「……です」
「あ?」
「嫌です!!聞けませんそんな命令!!」