【進撃の巨人】人類最強と死にたがり少女【リヴァイ】
第32章 手紙
「……まあ、そういうことだ」
あなたにそんな顔をされると、調子が狂う。私も何も言えなくなり目をそらしていると、空気の読めないリヴァイ兵長が舌打ちをする。
「チッ……あいつら、騒ぎやがって……」
あ、これ蹴り飛ばす時の顔だ。
ご愁傷様、エレン、ジャン。
「ほどほどにお願いしますね」
「手加減はする」
席を立ち、分かりにくいが楽しそうに去っていく兵長に、残されたエルヴィン団長が再び口を開く。
「……以前君は言っていたな。兵士皆が人類を思う英雄である必要はない、と」
「……?ええ、」
そういえば言ったか。
「情けない話だがな、君があの言葉を言ってくれて、私はすごくホッとしたんだ。誰かにそう言って欲しい……そう、望んでいたんだと思う」
まあ、決して団長のためを思ったわけじゃないが……それならばよかったと私は頷く。
「君は不本意だろうが、私は君のあの言葉に、救われたんだと思う」
「救われた、ですか………」
自分が誰かを救えるだなんて、考えたこともなかった。
「アリス、」
だからあなたに、そんな顔をされるなんて、
「ありがとう」
そんなことを、言われるなんて。
「……殺されかかった相手に言う言葉じゃ、ないですね」
少し緩んだ顔を隠すため、私はそっぽ向きそう呟いた。