【進撃の巨人】人類最強と死にたがり少女【リヴァイ】
第32章 手紙
「丁度、リヴァイも今回のクーデターで姓が判明したそうなんだ」
「……まあ、今更名乗る気はねぇがな」
「……なんというんですか?」
まさか。
頭の中に一瞬浮かんだことが、次の瞬間エルヴィン団長によって口に出される。
「アッカーマン……、というそうなんだ」
「……それって、」
「ああ、ミカサや、君の父親と同じ姓だ」
みんな、同じ姓……。
「まだ不確定なことは多いが、アッカーマンはレイスの記憶の改ざんの影響を受けないというし、何か特殊な力があっても不思議はない。今後も調べていく予定だ。………まあ、これが君の生い立ちを調べさせてもらった理由の半分だな」
「半分?」
私は肉の2切れ目を、口の中に放り込む。
「……実を言うと、私は情報を調べ始める以前から、シアルから君との関係については聞いていてね。君たちの母に関することも少し耳にしていたんだ。その際聞いた人柄から、君が愛されなかったというのがどうも納得いかなくてね」
「……え、…っと……?」
というかシアルさん、エルヴィン団長のこと、そこまで信頼してたんだ……。
「……愛されていたのに、その愛が届かないなんて、悲しいだろう?だからきちんと、証明したかったんだ」
「…………!!」
目を見開く私に、兵長がため息をつく。
「……ったく、エルヴィン、お前の説明は回りくどくていけねぇな。こいつ相手にそれじゃ伝わらねぇよ」
「はは、さすがに慣れているな、リヴァイ」
なんだかバカにされた気がする。
「いいか、アリス。平たく言うとな、こいつも俺たち同様、お前の幸せを祈る者の1人だってわけだ」
「…………そう、だったんですか?」
エルヴィン団長の方へ視線を向けると、団長は照れ臭そうに小さく笑っていた。