【進撃の巨人】人類最強と死にたがり少女【リヴァイ】
第32章 手紙
パタリと手紙を閉じ、空を見上げた。
「……兵長、私はどうやら、かなり"しあわせ"な人、みたいです」
封を閉じ、手紙をポケットに大切にしまう。
「ハンジさんに、兵長に、お母さんに、"お兄ちゃん"に、こんなにもたくさんの人に、愛されて、しあわせを祈られました」
ふわりと、兵長の手が私の頭を優しく撫でる。
「……ああ、そうだ。お前は幸せ者だ。そんだけの祈りを背負ってる」
「………はい、」
「そんな奴が、簡単に死ねねぇよな?」
「はい、絶対に死ねません」
半年前の私なら、想像もつかないセリフがすらりと口から漏れる。
「……兵長、私………」
きっと、ずっとずっと言いたかった。でも言えなかった。言ってはいけないと思っていたから。望まれないものだと思っていたから。でも、今なら言える。
「私、……"生きたい"……、です」
ほろりと、涙が溢れてくる。それでも、私は笑った。
「は、……やっと言ったな」
待っていた、と言わんばかりに兵長は再び私の唇にキスを落とす。
もう迷わない、私は生きるために戦う。たくさんのしあわせを、背負ってるから。
「んっ………は、………兵長、あいして、ます。絶対に、死なないし、死なせません」
拙い言葉を、紡ぐ。
「俺もだアリス。愛してる。……お前の幸せ、絶対に守ってみせる」
そして時は、決戦前夜へ。