【進撃の巨人】人類最強と死にたがり少女【リヴァイ】
第32章 手紙
「座っていいよ、紅茶でも淹れようか」
「いえ、アリスは……」
「いいから、座って」
「………はい」
紅茶の茶葉を取り出していると手伝おうと立ち上がってくるアリスを無理矢理座らせ、俺はポットを取り出す。
「ここは兵舎内だし、壁の中なのに、何をそんなに警戒してるの?」
「……アリスにとっては、巨人も人も変わらないので」
「巨人と人が?」
俺は出来上がった紅茶をアリスと自分の前に置く。
「……どっちも、言葉は通じなくて、信用のできないもので、……シアル班長以外のものは、みんな同じです……」
紅茶を手に取り啜るアリス。
アリスがこんな風になってしまったのは、俺の責任が半分だ。俺と、母親と、環境と。母亡き今、環境が変わった今、アリスをこうしてしまった責任を取るのは俺しかいない。
「……リヴァイ兵長やエルヴィン団長は、その疑り深さも評価してくださってるようだけど……」
責任感だけでやっているわけではないが、このままというわけにはいかないだろう。なんとかしてやりたいが……
「……あの人たちは、苦手です」
「そうなの?」
「はい、シアル班長を囮のように扱うので」
アリスの行動基準、判断基準は全て俺、か………。もっと広い範囲に目を向けて欲しいんだけど……。