【進撃の巨人】人類最強と死にたがり少女【リヴァイ】
第32章 手紙
「でも、よく見てるね。あの陣形と説明を聞くだけでうちの班が囮だってわかったんだ」
通常囮だとしても、説明は分かりにくいようにされるし、陣形を一見しただけではわからないようになっている。囮だと言われてなお、全力で戦える兵士なんてそう多くないからだ。
「はい。……まあ、勘ですけど」
まったく、末恐ろしい子だな……。
「アリスはさ、俺より強いし、俺より戦闘の勘もいい。だからきっと、俺が弱いくせに大口叩いてるだけのように見えるんだと思う」
「そんなこと……!!」
「いいよ、気使わなくて。……意地悪言ってごめんね。でも、聞いて欲しいんだ」
俺たちに、兵士に絶対なんてないから。言葉を選んでいる場合じゃ、ないから。
「……俺はね、弱いけどさ。人1人なんて弱いけどさ、それでも見てみたいんだ。平和になって、みんなが笑いあえる世界を」
一呼吸を置き、口を開くアリス。
「……素敵なことだと思います。きっと、お祖母様もお喜びに……」
「もちろんそれには、アリスの笑顔も含まれてるよ」
「え………」
なんでここで、そんな顔するのかなぁ……。
「あたりまえだろ?何年一緒にいると思ってるの。ちっちゃい時からずっと面倒見てる。ずっと支えてもらってる。……俺はアリスのことも幸せにしたいと思ってるよ」
「しあ、わせ………?」
首をかしげるアリス。
「……訳がわからないって顔だね」
「……いえ、言葉の意味は理解しています。ただその言葉と自分を関連させることに難航しています」
機械的に答えるアリスに、俺は胸がひどく痛んだ。