【進撃の巨人】人類最強と死にたがり少女【リヴァイ】
第32章 手紙
遺書なんて、いささか弱気が過ぎるだろうか。
真夜中、テーブルの上の明かり1つしかない執務室の中で、俺は筆をとった。
『遺書』
何故だかはわからない。でも今書かないと、もう伝えられない気がしたんだ。
「シアルさん、どうなさったんです?」
「あ、いや……、すまない、なんでもないよ」
音もなく気づけばドアの前に立つ、体に合わない兵服を着た少女。
「アリス」
名前を呼ばれた少女はゆっくりと顔を上げ、その青い瞳で俺を見つめる。
俺は急いで引き出しに手紙をしまった。
「どうしたんだい?こんな夜遅くに。今日も疲れたろう、早く休んだほうがいい」
「………お気遣い、痛み入ります」
表情のない顔を小さく下げるアリス。
「……シアルさんが執務室に入っていくのが見えて……それで、」
「心配になった?」
「……はい」
「あのねぇ……、俺だってもう、1つの班をまとめる班長だし、何より大人だ。心配してくれるのは嬉しいけど、こうも過保護だと周りに示しがつかないよ」
「ですが………」
うつむく少女は、言葉を紡ぐのをやめる。
「……すみません」
「はぁあ………」
俺はため息をつき、席を立つ。