【進撃の巨人】人類最強と死にたがり少女【リヴァイ】
第31章 生まれた日と愛
丘の上は相変わらず誰もいない。あのとき見た景色となんら変わらず、今日も星空が輝いている。
「お前の羞恥心の箇所も、よくわからねぇな」
「普通ですよ、普通」
変わったのは、私たちの関係……か。
「……なんだかこうしてると、嘘みたいですね」
「あ?」
こんなにも静かなのに、こんなにも暖かいのに。
「壁の向こうには巨人がいて、……私たちは喰らわれる側で、……」
現実は、世界はこんなにも冷たい。
「ウォールマリア奪還作戦まであと2日、ゆっくりできるのも今日が最後でしょうね」
兵長に誘われた時から薄々思っていたが、もしかして……
「勘違いしてるようなら言っておくが、最後だからって誘ったわけじゃねぇぞ。別に最後じゃねぇからな」
そんなことはないか、この人に限って。
「絶対なんてない……そうおっしゃっていた割に、ずいぶん自信満々ですね」
「絶対はねぇが、易々と死んでやる気も、死なせてやる気もねぇからな」
私は小さく笑う。
「……私が、絶対守りますから。死なないでくださいね」
簡単じゃないだろう。ウォールマリア奪還。口先だけで言うなら簡単。しかし様々な可能性を考慮すれば、成功確率は絶望的。敵がなんなのかもわからない。不確定要素の塊、そんな作戦。おそらく、多くの命が失われるだろう。
まあ私とて、そう簡単に死んでやる気はないが。
「自惚れんな、てメェの心配でもしてろクソが」
「んっ…………」
ぐっと引き寄せられ、唇に優しいキス。
私は静かに目を閉じた。