【進撃の巨人】人類最強と死にたがり少女【リヴァイ】
第31章 生まれた日と愛
そっと唇が離れ、目を開ける。そして自らのポケットにそっと触れた。
______自分は愛されて生まれてきた、そして今も、愛してくれる人がいる。
その事実だけで、今は十分だった。
「………これ、今なら読めるかもしれません」
上着の内ポケットから、便箋を取り出す。
「……てメェ、タイミングってもんがあるだろうが……」
「あは……すみません」
『遺書 アリスへ』
見間違うことのない、彼の字。
「……元カレの遺書か」
あなたの優しい嘘に甘えるのは、もう終わりにする。
「彼氏じゃないです。………もうご存知でしょう」
わかってた。最初から。なぜだかはわからない。そういう、"血"同士だったからかもしれない。
「………"兄貴"、ですよ。父親違いですが」
兵長の目を見つめ、私は笑う。
「……知ってたのか」
確信を得たのは今だが、薄々感じていた。あの、綺麗な瞳は、
『アリス、俺はお前を……、愛しているよ』
『愛してるわ……アリス』
母の目だ。
「それにたぶんこれは、遺書じゃないです」
「あ………?」
『幸せに、生きろ』
「……"馬鹿な妹"に向けた、"馬鹿な兄貴"からの、手紙ですよ」
私は封を切った。