【進撃の巨人】人類最強と死にたがり少女【リヴァイ】
第31章 生まれた日と愛
兵長の手を引いて、人混みを抜ける。まだ爪の傷が少し痛むが、どうってことはない。貴方の手に包まれればその痛みも安らぎに変わる。
「……しかし、やめろとは言わねぇがお前、いつまで猫かぶってんだ」
「?なんの話です?」
猫、猫……兵長の前では特にかぶっている自覚はないが……
「お前元の一人称、アリス、だろ。まあ別にどうでもいいが、」
「え……なんで………」
「さっき泣く前。それに、昔お前と会った時も、そう言ってた」
昔?私は首をかしげる。
……いやしかし、兵長の前でボロがでるとは、なんたる不覚。
「いやぁ……これ、猫かぶってるわけじゃないんですよ、その……なんというか、」
「なんだ、はっきり言え」
「言いにくいことなんですよ!!」
言えるわけがない、確かに一人称、元々は自分の名前だった。兵長と出会う少し前までそうだった。
だけど……
「………で、しょう………」
「あ?」
「だから!!子供っぽい、でしょう!!」
「……………」
わー、こんな意表を突かれたみたいな兵長の顔初めて見たー………あーー……死ぬほど恥ずかしい。
「は、お前が自分を大人だと思ってやがったことの方が、笑えるな」
「そう思うならちょっとは表情筋動かしたらどうです……」
笑えるとか言うくせに、テンションも顔もいつも一定じゃないか。
「……お前に言われたくねぇよ」
なお、自分のことは棚にあげる。