【進撃の巨人】人類最強と死にたがり少女【リヴァイ】
第31章 生まれた日と愛
「……すみません、食事前にしんみりさせちゃって。……お詫びに一発ボケましょうか?」
「アホか、黙って食ってろ」
届けられた食事を口に運びながら、真っ赤に腫れてしまった目をこするアリス。
こいつの気持ちの切り替えの早さには毎度驚かされる。伊達に何年も苦しみを背負ってきたわけじゃないってか。
「……私、ちょっとわかった気がします。"しあわせ"の意味」
幸せ、それは祈り。
「……誰かが誰かに祈る、……それはつながりの証で、愛の証なんじゃないかなって………」
「……てめぇ、小っ恥ずかしいこと言いやがって」
最後の一口を、喰らう。
「まあ、だったらいいなって話ですけどね」
「……お前がそれを信じたいなら、それでいいだろ。どうせ答えなんて誰にもわかりゃしねぇんだ」
そう、答えなんてない。誰にもわからない。だったら、好きなように解釈して、好きなように生きればいい。
俺たちは、"自由"なんだから。
「今日は本当に、ありがとうございました」
支払いを済ませ、すっかり更けてしまった夜の街に出る。
「………ああ、」
夜風が冷たい。
こんな平穏も、いつまで続くことやら。
「ちょっと、寄り道して帰りませんか、」
「?構わねぇが……」
俺はアリスに手を引かれるまま進む。行きと立場が逆だ。
「あの丘へ、行きたいんです」
アリスは小さく笑った。