【進撃の巨人】人類最強と死にたがり少女【リヴァイ】
第31章 生まれた日と愛
「娼館の主人から預かった。お前のことを聞きにくる奴がいたら、こいつを渡してくれって」
『リリアのガキ?……あー、リグルのことか。なんたってそんな昔のこと……』
『いいから、出生日を教えろ』
『まあいいけどよ………、って、2人いるな。どっちだ?』
『下の……女の方だ』
『女かどうかはしらねぇが、へいへい下の方ね。………あ、そういや渡しとくもんがあったんだわ』
『は?俺に?』
『いや別にお前にじゃねーけど。リグルのガキについて聞きにくる奴がいたら渡せって言われてたんだよ。本人からな』
『なんで………』
『あーなんつってたか、……たしか、"そのガキを、見つけてくれた人"に渡せつってたんだよ。そうすりゃ本人に届けてくれるだろうってな。あいつ客多くて子供の面倒見てやれなかったみたいだからな。それだけはずっと悔いてたよ』
書かれた文字はたった一言。
『悔いてた……ってことは、奴は………』
『……娼婦のガキなんざ、恵まれない生まれだがな。それでも、そうだな。リグルはそういう女だ。確かにそのガキは………』
_____しあわせに生きて
『愛されていたよ』
汚い文字、識字率の高くない地下で、必死に勉強して覚えた文字なんだろう。
「っ、へ、ちょ………っ…………」
必死に涙を堪えるこいつに、俺は言う。
「………泣け、我慢すんな」
その言葉がトリガーになったかのように、アリスはカードを抱きしめ声をあげて泣き始める。
俺はただ黙って、アリスが泣き止むまで、頭を撫でてやった。