【進撃の巨人】人類最強と死にたがり少女【リヴァイ】
第31章 生まれた日と愛
「………私、お母さんの顔覚えてなくて、」
「……まあ、幼い頃になくしてりゃあ、覚えてなくても当然だろ」
俺も実際、ほとんど覚えていない。
「そうじゃなくて……、多分、顔見たことほとんどないんですよ」
俺は黙って話を聞く。
「覚えてるのは、着飾ったあの後ろ姿だけ。去っていく、あの後ろ姿だけ。愛されてたかどうか、それすらも覚えてない。……でもただ1つ、母が、綺麗な目をしていたのは覚えてるんです。青いような、紫のような、そんな目を」
レイスの、記憶を持つものの目ってやつ、だろうか。
「いつもいつも、"アリス"は置いていかれてた………、おかあさんにも、あの常連さんにも!!シアルさんが迎えに来てくれるまで、っ……アリスは………」
『『おいていかないで』』
重なる、あの日の自分と昔のこいつ。
「覚えてないからって誤魔化してるけど、きっとアリスは、いらない子でっ………」
「そうでもなかったみてぇだぞ」
俺はポケットから、"預かりもの"を取り出し、そっと机の上に置く。
「これ、は………」
小さな小さな、封筒。不思議そうな顔をしながらその封筒を開くアリスが中から取り出したのは、
「………?」
一枚のカード。