【進撃の巨人】人類最強と死にたがり少女【リヴァイ】
第31章 生まれた日と愛
夜は嫌いだった。地下を連想させる薄暗さ。どうも過去を思い出してしまうから。
一寸先には何もない闇で、上を見上げても何もない。それが当たり前だったのに。
「上ばっか見上げてっと、転ぶぞ」
「わっ………」
「言わんこっちゃねぇ………」
強引に手を掴まれ、そのまま引きづられる形で人混みを進んでいく。
地上の夜はこんなにも明るい。そしてあなたがいればもっと、輝いて見える。
「なんだか久しぶりですね、こうして2人でゆっくりできるのは。ここ数週間大忙しでしたから」
「ああそうだな、エレンは攫われるわエルヴィンは片腕もがれるわ、お前も片目吹っ飛ばすわ、散々だった」
「あはぁ……」
笑うしかできない。
リヴァイ兵長の精神的苦痛は想像を絶するものだっただろう。自分が失うことより、周りが失っていくのを見るのはもっと辛い、あなたはそういう優しい人だから。
「……すみません、」
「謝んな」
じっと、前を歩く兵長の背中を見つめる。
人より小柄なこの背中に、いったいどれだけの苦しみを背負っているのだろうか。きっと自分1人の苦しみだけでも精一杯なはずなのに、貴方は優しすぎるから。いろんな人の苦しみも一緒に背負ってしまうのだろう。
「……ついたぞ、」
「あ、はい」
いろいろ考え込んでいると、気づけば目的地に着いていたようだった。