【進撃の巨人】人類最強と死にたがり少女【リヴァイ】
第29章 昔日
「だからってわけじゃないんですけど……。あ、えーっと、自惚れてるわけでもなくて……その、あーーーなんて言ってらいいんでしょうか………」
頭を抱えるシアルを横目に、俺は大きくため息をついた。
「はぁ……仕方ねぇな」
「……?兵長?」
ベンチを立ち上がり、元の廊下への道へ戻る。
「……認めてやる。あのガキ……アリスの調査兵団入団をな。……あとはエルヴィンになり、話を通してくればいい」
「………!!本当ですか!?ありがとうございます!!」
ばっと頭を下げられ、その場を去ろうとすると、
「リヴァイ兵長、」
「……なんだ」
呼び止められ振り返ると、何やら悲しげな顔をするシアル。
「いきなり弱気で申し訳ないんですが……もし俺に何かあれば、……あの子を、よろしくお願いします。……俺じゃきっと、あの子を守れないので」
何やら意味ありげな言い方をするシアルに、俺はそれ以上聞くまいと黙った。
「……そうならねぇように、せいぜい頑張って生きることだな」
特段深い意味があったわけじゃない。反対していたのも、認めたのも。変なやつもいるものだ、興味はその程度だった。
数年後、彼女が自分の命よりも大事なものになるなんて、思いもしなかった。