【進撃の巨人】人類最強と死にたがり少女【リヴァイ】
第29章 昔日
「まだ確定ではありませんが、こちらが調査兵団への入団を許可した場合、彼女はそのまま入団という形となります。教官は、その、よろしいんですか?」
訓練見学後、教官室へ案内され俺は淹れられた紅茶をすする。
……エルヴィンにしては珍しく曖昧な物言いだ。
「ええ、構いませんよ。……もちろん、あんな幼い少女を戦場へ送り出すことに少しも心が痛まないわけではありませんが……。正直、我々教官も彼女の扱いには困っているのが本音でして」
「困っている……ですか?」
「はい。優秀すぎる、という点もそうなのですが、彼女はその……どうも人との接触を過度に嫌う傾向がありまして。団体行動ができないという問題点もあります。それから、その……」
ふと、教官室の扉の前に気配を感じたが、中に俺たちがいることを察してか、すぐにその気配は消えた。
しかし、小窓から見えた頭の色は灰色。俺は無意識のうち立ち上がり、廊下に出た。
「……なんですか?」
「……どうも、自傷行為をしているようで……」
「…………!!」
「……え、それって、自分で自分に傷つけてるってこと……?」
「はい、そうなんです……、他にも自らの怪我や体調不良なんかも詐称する癖があって、怪我をしても自分で縫ってしまうんです」
「負傷届けの詐称か……何処かで聞いたような話だな、リヴァイ………リヴァイ?」
「あれ?さっきまでいたのに」
中で行われていた会話の内容を、俺は知らない。