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【進撃の巨人】人類最強と死にたがり少女【リヴァイ】

第29章 昔日


「ハンジ班の、シアル・ヴィクトリカです」

彼とは長く調査兵団で共に戦っていたが、ちゃんと関わりを持ったのはおそらくこれが初めてだった。役職上知る彼としては、真面目で優秀で、誠実で。部下からも上司からも信頼の厚い男だという。

「……モブリットさんの言う通り、まだ幼い少女をこのような戦場へ連れてくるのは酷な話です。リヴァイ兵士長のご意見も、ごもっともだと思います。……ですが、……えっと、私如きの意見をこのような場で申し上げるのも気が引けることではあるんですけど………」

「構わない、続けてくれ」

丁寧な口調や謙虚な姿勢は、まるでリヴァイとは正反対、といった感じだった。

「はい。……えっと、調査兵団に志願することって、誰にでもできることじゃないと思うんです。それに彼女はきっと、その特例が認められるだけの努力をしてきています。結果も出ています。訓令兵入団後の4年連続、学術、馬術、格闘術、立体起動、全てでトップの成績を収めることは並大抵の覚悟では不可能でしょう」

恵まれない体格で、男子兵士をも超える実力。確かに血の滲むような努力があったことは認めざるを得ないだろう。私はちらりとリヴァイに目を向ける。

「……だとしても、だ。何故あと一年が待てねぇ」

「本人曰く、"一刻も早く"、だそうだ」



その後はシアルの弁舌で次々と意見を変えていく兵士たちだったが、リヴァイだけはどうしても最後まで譲らなかった。

シアルもシアルで、リヴァイ相手に一歩も引き下がらずさすがに周りもヒヤヒヤしてきた頃、

「………わかりました、リヴァイ兵士長。明日一度、見に行ってやってください。それでご判断いただけませんか?」

「……はぁ。……わかった、それで手を打とう」

シアルのその提案で、いつもより長引いた会議はひとまず終了し、判断は後日まで保留となった。
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