【進撃の巨人】人類最強と死にたがり少女【リヴァイ】
第4章 屍の瞳
「……よし、終わりましたよ。これで最後です」
「ああ、ご苦労だった」
渡された書類の束を軽く整える。
「じゃあ、私はこれで失礼しますね」
俺の机の前で一礼し出て行こうとするアリスを俺は引き止めた。
「アリス」
「………?はい、」
きょとんとこちらを見つめるアリスに俺は深呼吸し言葉を紡ぐ。
「次の壁外調査だが、」
言いたい言葉が喉元まで出かかって、出てこない。
「……?なんです?」
「……絶対に死ぬな」
「………!!」
今の俺に言える精一杯の気持ちがそれだった。こいつが強いのは十分に分かっている。だからこそ、こいつは自分の限界を知らずに戦い続けそうなのだ。そしてその礎で死ぬことを望んでいるのだろう。今回の壁外調査はこいつの班が変わって最初の壁外調査だ。フラッシュバックなんかで死に急ぐ兵士は今までにたくさんいた。
こいつは特に、その危険性がある。
「……ご心配、痛み入ります。……失礼しました」
頭を下げ逃げるように去っていく小さな背中を、俺は扉が閉まるまでじっと見つめていた。
一瞬だけ見えた顔は、今までに見たことのない表情をしていた。