【進撃の巨人】人類最強と死にたがり少女【リヴァイ】
第28章 あいたい人
「アリス……アリス………」
何処かから、私を呼ぶ声。薄っすらと水底から浮上していく感覚に身を任せ、目を開く。
「ん………、へい、ちょう……?」
「……リヴァイじゃなくて申し訳ないが、私だ。迎えに来た。今手錠を外そう」
無意識に口にした希望はあっさりと打ち砕かれる。
「なんだ、……団長、ですか。クーデター、無事、終わりました?」
「ああ、成功したよ」
ガチャガチャと、薄っすらとヒゲが生えた憲兵団の人が私の錠を外していく。
「……なんだ、この子、まさかリヴァイに気でもあるのか?」
「気があるというか、まあ、そういう仲だ」
その情報、今暴露する必要があっただろうか。錠が外れふらりと立ち上がり、私は団長を睨んだ。
「……驚いたな、あいつにそんな人らしい感情があったのか」
「ああ、私も最初は驚いた」
「若いな」
「たまに羨ましくなるよ」
このジジイどもめ……、と心の中では思いつつ、あまり口を開く体力も残っていないので黙る。
「怪我の方はどうだ、」
「完全に悪化、ですね。でも、戦えます。補強すれば立体起動も可能なはずです。足はもう歩ける程度には治癒していますし……!!」
爪のない血に塗れた両手をぐっと握りしめる。