【進撃の巨人】人類最強と死にたがり少女【リヴァイ】
第28章 あいたい人
「レイス家が本当の王家だ」
サネスの口からその言葉を聞き出してから、方針が固まるまでそう時間はかからなかった。エルヴィンの読みは見事に当たり、あとはその当の本人であるヒストリアと、エレンを取り戻すだけ。
「……すまないね、散らかしちゃって。ゴキブリがいたんだよ」
苛立つハンジ、無理もない。
「……そうか、だがお前の一撃で粉々に消し飛んだはずだ」
今は一刻も早くエレンとヒストリアを奪い返す。そして……
「……リヴァイも、だいぶ苛立ってるみたいだね」
「………ああ、そりゃあな」
中央憲兵の拷問は、大の男の大人でも殺してしまうようなものだ。それをあんな傷だらけの、少女が耐えきれるものだろうか。
不安は思考をマイナスへマイナスへと引きずり込んでいく。
「だが、あいつらの受けた苦痛を無駄にしないためだ。エレンとヒストリアは必ず連れ帰る」
無事でいてくれ……、そう祈ることしか、今の俺にはできない。
「……きっと、大丈夫だよ、アリスは。ああ見えてとても強い子だから」
ああ、知ってる。あいつは強い。だからこそ、強いからこそ、心より先に、体を壊してしまいそうなんだ。あいつは自分の損傷に疎いから。
「……ああ、俺は、あいつを信じてる」
もう少しだけ、待っててくれ。