【進撃の巨人】人類最強と死にたがり少女【リヴァイ】
第26章 悪魔の裏側
「……そうですか?」
「ああ。……今度時間があるとき、チェスでも一局どうだ?君とならいい勝負ができそうだ」
「……私にチェスを挑みますか。私けっこう強いですよ」
「ああ、そんな気がするよ」
そう言って笑う団長は、今まで見たどんな彼より、優しげに見えた。悪魔じゃない、調査兵団団長じゃない、……ただの無邪気な、知識欲溢れる青年。
畜生……そんな顔をされては、憎めないじゃないか。
「エルヴィン、入るぞ」
ノックなしに乱暴に扉を開くのは、
「……なんだお前、ここにいたのか」
愛しい人、リヴァイ兵士長。
「……はい、ちょっとお話ししてました」
「そうか、それは結構なことだが、……少し離れろ」
「わっ………」
急に腕を引かれ、私は兵長の方へと倒れこむ。
「……安心しろリヴァイ、お前のものを奪うつもりはない」
「どうだかな……、おい、さっさと戻ってろ。つか寝てろ。フラフラ出歩くんじゃねぇ」
トンっと額にきつめの一撃を喰らう。
「いたた……、そんなに怒んなくてもいいじゃないですか……。では団長、失礼しました」
「ああ」
くそう兵長め……次会ったら何か一撃食らわせてやろう。