【進撃の巨人】人類最強と死にたがり少女【リヴァイ】
第26章 悪魔の裏側
「"俺"の父親は、教師をしていたんだ。歴史の先生だった」
あ、団長の一人称、俺になった。……なんか、新鮮だ。
「だがある日、愚かな息子のせいで………父は死んだ」
息子、団長のことだろうか。団長のこんなに暗い表情、初めて見る。なんだか調子が狂う。
「団長が調査兵団で戦い続ける理由の根底は……それだったりするんですか?」
「はは、まあ、そうだな。……がっかりしたか?」
「いえ、不純な動機は私もいい勝負ですので」
「いや……君の方が立派だよ」
撫でられる手は止まらない。……いつまで撫でてんだ。
「曲がりなりにも、人のために戦っているんだ。俺の戦う理由はいつだって、自分のためだ」
「そんなこというなら、みんなそうですよ。死者に意味をもたせたい、これだって別に頼まれてやってるわけじゃないですし。生者の勝手なエゴです」
「……………!!」
「でもそれって悪いことです?」
見開かれた団長の青い瞳が、こちらを見つめる。
「自分のために戦うのは、悪いことですか?」