【進撃の巨人】人類最強と死にたがり少女【リヴァイ】
第4章 屍の瞳
「……柄にもないことを言っているのはわかってますよ。自覚済みです。その上で、伺っています」
アリスの方へ視線を移すと青い瞳がこちらを見つめていた。いつものそれではない。眠そうなのは変わりないが、真剣さがうかがえた。俺は足を組み直し、頭を回す。
「……さあな。俺はまともな幼少時代を過ごしていないし、兵団に入ってからも巨人のうなじを削ぐことに全力を注いできた。そんな俺の話なんざ参考になるとも思えん」
幸せの意味なんて、考えたこともない。求めたことも特にない。こいつがどんな答えを欲しているのかも、わからなかった。
「……シアル班長が死の間際、私に『幸せになれ』、そう言ったんです」
珍しいこともあるものだ。こいつ自ら前班の話をするとは。俺は紅茶を啜りながら聞いた。
「班長の最期の命令です。私は従いたい……でも、理解が、できないんです。命令の……はは、兵士失格ですよね」
まだ昼だが酒でも飲んでいるのだろうか。こいつが泣き言を言うのもまた、珍しい。