【進撃の巨人】人類最強と死にたがり少女【リヴァイ】
第25章 此岸
「……知ってやがったのか」
「こうみえて地獄耳でして」
極秘情報は地獄耳でどうこうなる問題じゃねぇ、ということはもう突っ込まない。
……と、いうことは俺が必死に秘密裏に動いたことは無駄になってわけか。
「毎度のことながらエルヴィン団長の勘の鋭さには驚かされます」
「まあ……それはな」
今に始まった話じゃないが、奴はたまに俺でも怖くなる。
「もうご存知かもしれませんが、」
青と紫の瞳がこちらを向き、悲しげに微笑む。
「_________________」
「……ああ、知ってたよ」
今の時点ではその情報にどんな価値があるのかはわからない。こいつの運命が今この瞬間、どの方向に動いたのかはわからない。
ただ、今の俺にできることは、今の俺に言えることは、
「……海、連れて行ってやる。約束だ」
出会った頃と変わらない、こうして約束を交わすこと。
「死なない、"しあわせ"の意味を知るまで……それと、"うみ"を見るまで」
差し出される小指を、俺は鷲掴む。