【進撃の巨人】人類最強と死にたがり少女【リヴァイ】
第16章 ▼ひとりぼっち▼
「……団長、その、……以前は、すみませんでした」
消毒液が塗られ、包帯が綺麗に巻き直されていく。……うまいものだ。
「私を刺したことか?……それなら気にするな。もうほとんど傷も塞がっているし、君が私を恨むのは当然の権利だからな」
殺すつもりで結構いい部分を深く刺したと思ったが……もう治っているのか。化物か……
「あいつが私に暴行する理由、私が団長を刺した理由と同じでした」
「……そうか」
「まるで自分を見ているようで、哀れでした」
そういえばハンジさんにも言われたな。空回りだと。
「……明後日だ。明後日の朝、女型を捕獲しここに戻る」
治療をし終えてくれたのか、パタリと救急箱が閉じられる。
「……わかりました。それまで、……耐えます」
本音を言えば、今すぐにも逃げ出したい。
兵長に抱きしめて欲しい。
兵長に抱きつきたい。
この匂いをかき消して欲しい。
上書きして欲しい。
そしてまたいつもみたいにどうでもいいことを話して、笑って欲しい。
でも、足だけは引っ張りたくない。兵長だけじゃない。調査兵団の足を引っ張るのだって御免だ。
「決して馬鹿にしているわけではないが、君は小さな体の割に、大胆なことをいうな」