【進撃の巨人】人類最強と死にたがり少女【リヴァイ】
第16章 ▼ひとりぼっち▼
「……俺はあの時命令したよな」
男は私の頭から酒をかける。
「リリィとシアルが巨人に食われそうになった時、俺はお前に命じた。"副班長"である、リリィを助けろと。調査兵団では命の順番が決められている。副班長のリリィと一階の兵士のシアル……どっちを助けるかは一目瞭然だったろうが」
「……あんな場面で、いじめられっ子がいじめっ子を助けると思いますか」
「被害者面してんじゃねぇ!!」
「いっ………」
頬に一撃、平手打ちを食らう。
「リリィはなぁ……優しい奴だったんだよ……お前と違ってなぁ!!」
「人の立体起動装置に細工するような人が優しい人ですか、人の馬に毒飲ませて殺すような人が優しい人ですか、人が慕っていた人を騙して傷つける人が!!優しい人ですかそうですか!!恋は盲目とはよく言ったものですね!!」
シアル班長がリリィさんに惚れていたのは知ってる。たとえ私にどんなことをする人だろうが、シアルさんがそれで幸せならいいと思っていたが、それは間違いだった。
『アリス……ごめんな、俺、かっこ悪りぃよなぁ……』
泣きながら笑っていた班長のあの顔が、脳裏に焼き付いて離れない。
全ては私への当て付けだった。ルシアン前班長と一度話しただけで嫉妬を買い、私への嫌がらせを続けついにはシアル班長にまで手を出し、挙句深く傷つけた。そんなことがありながらのあの状況。どちらを助けるかなんて決まっている。
……名前も覚えていたくなかったのに、すっかり思い出してしまった。