【進撃の巨人】人類最強と死にたがり少女【リヴァイ】
第16章 ▼ひとりぼっち▼
「こんばんはぁビスクドール様。こんな時間にどうされましたぁ?お子様は眠る時間ではぁ?」
ゲラゲラと下品な笑い声が食堂内に響く。
「盗み聞きとはお行儀が悪いですねぇ、知ってましたよそこにいること。出てきてもらうためにわざとあいつらのこと悪く言ったんですよ。まあ、本当のことですがねぇ」
「……………」
今すぐにでもぶん殴ってゲロ吐かせてやりたいぐらいだが、あいにく今の私はほとんど動けない。仕方ないので睨む程度に抑える。
「おお怖い怖い。………っとまぁ、茶番はこんくらいにして」
真ん中に座るリーダー格らしき男が立ち上がり、酒瓶を持ってこちらに歩いてくる。
「"元ご主人様"に随分なご挨拶じゃねぇかクソガキ」
こいつの顔は記憶にはないが、さっきの言動から察するにおそらく、シアル班長が班長になる前の班長だろう。私がまだ新兵だった頃の、1番最初の班長。もう名前も覚えていないが。
「忘れたとは言わせねぇぞ……"テメェがリリィを、見殺しにしたこと"」
いつの間にか背後にいた別の男に両腕を片手で押さえつけられ、もう片腕で首元を絞められる。
「ぐっ………」
うっすらと蘇る、記憶。
「ずっとこのチャンスを願ってた……テメェが一人きりになるのを、俺は2年も待ったんだ」
……思い出した。ルシアン・マルティネス班長。
私は2年前この人の大事な人を、
『アリス………助けっ……!!』
殺した。