【進撃の巨人】人類最強と死にたがり少女【リヴァイ】
第16章 ▼ひとりぼっち▼
やはり体を動かしていた方が落ち着く。じっとしていると余計なことばかり考えてしまうから。
廊下の壁を伝いながらひょこひょこと食堂へと向かう。
時間も時間だし、もうあまり人もいないはず……。そう思いながら食堂への扉に手をかけると、予想とは反し中から数人の笑い声が聞こえた。私はそっと中を覗く。
「っはははは!!しかし、リヴァイ兵長も堕ちたもんだよなぁー」
……?兵長の話?
じっと目を凝らしてみると男性兵士が6人ほど、あれは……酒瓶。お酒を飲んでいるのか。どうしよう、入るタイミングを完全に逃した。
「ほんっとになぁ。あんなクソビッチを側に置くとはよぉ、あんな討伐数だけの死にたがり女のどこがいいんだか。討伐数だけで兵士が語れっかよ」
「リヴァイ班に入れば調査兵団の精鋭扱い、名声欲しさに股開いたんだぜきっと。ほら、あいつの前の班長一ヶ月くらい前に死んだじゃん」
「あーシアルな。前まではシアルにべったりだった癖に、死んだ途端他の男に乗り変えか。流石はビスクドール様、いいご身分だねぇ」
「そういやシアルとあいつって、前までお前の班にいなかった?」
「………ああ、奴が新兵の頃な。ムカつく奴らだったよ。シアルは無駄に暑苦しいやつで、テメェ勝手な正義感振りかざしてきやがるウゼェ奴だった。アリスもアリスだ。神童だか天才だかしらねぇが、いつも人を見下した態度取りやがって……。アリスをリヴァイ班に入れた時点であの人にも失望したよ。……だいたいチビの癖に何が人類最強の兵士長様だ、デカイ態度で……」
「黙って!!」
我慢できなかった。兵長やシアル班長のことを悪く言われた。理由なんてそれで十分だ。
腸が煮えくり返りそう。
私は思い切り扉を開いた。