【進撃の巨人】人類最強と死にたがり少女【リヴァイ】
第14章 喪失
「チッ……埒があかねぇな……」
何度切り込んでも女型のうなじは削げず、俺は近くの木に移る。
アリスをエルヴィンの元へ置いたことで色々心配はしていたが意外にも大人しくしていたようだった。
「エルヴィン、お前あいつに何か言ったか」
「少しな。何、お前の時と似たようなものだ」
相変わらず恐ろしいやつだ。こうやって俺も奴への殺意を削がれたのを思い出す。
「兵長、私は班の元へ戻ります」
「ああ、わかった」
木を飛び降りるアリスの背を見送り、再び女型に視線を戻す。
「なぁ、いい加減出てきてくれないか、こっちだって暇じゃねぇんだ」
女型の頭上でうなじの中のやつに向かって話しかけても当然反応はない。……このままじゃあ、先に犠牲になったやつを無駄死ににさせちまうだろうが。
「……死なれたりしたら、困るからな」
せっかく生け捕りにして情報を聞き出す算段が無駄になる。
と、その言葉がトリガーになったかのように、女型はおぞましい叫び声を上げた。
「ーーーーーーーーー!!!!!」
数十秒間にも及ぶその声はまるで悪魔そのもののようで、
「てめぇ……びっくりしたじゃねぇか」
するとその叫びを皮切りに、巨人が全方位から集まってきた。