第7章 阿吽の錦
あいつが来てから2週間が経った
父上はあいつに優しすぎる
俺より1年早かったからっていい気に乗りやがって
ただ、2週間も経ったのにまだあいつと話してない
正確には話せない
あいつはここに来て
庭の竹やぶを見るなり
膝をついて泣け叫んでた
父上が何度も狂ったあいつを止めたけど
気が本当に狂っていた
そしてこの2週間の間ずっと
寝込んだままでいる
使用人から聞いた話じゃ
精神的に壊れたらしい
あいつの部屋に行っても
声を押し殺したような音にならない声で泣いていた
毎晩毎晩
たまに外にいる姿を見たと思うと
月を見ていて
空になった瓶が月に反射して
きれ...
違う!
あいつと久しぶりに会ったせいで
あいつがここに来ているせいで
ああもう、俺まで狂っちまう!