第16章 うつみせの
襖が開く音がした
多少森があるここでは日が昇っても
完全に昇までまだ時間がかかる
紫娜が起きた
だが明らかに雰囲気が違う
背中から感じるものは威圧感と言うよりも
圧倒するような何かを感じた
獣だ 無意識てきにも狼だとわかった
確かに狭間があって今まできっと
この鬼と紫娜は戦っていたんだと思うが
糸が切れたように
この鬼はさっきの攻撃とはまるで違う
本気の目になった
ッケ...おせぇんだよガキが
「音の呼吸 伍ノ型 鳴弦奏々」
あいつがどうこの鬼を守るかなんてわからんが
それでも全力で戦わねぇと
この姉弟が抱えてきモン全部救えねぇ
「おい!紫娜 」
何やってんだアイツ
取り出したのは刀 鞘を抜き真剣を見せる
俺らに気づいていない
守りたかったんじゃねぇのかよ..!
相手の鬼ももう俺らに見向きもしねぇ
元柱の俺らでさえ相手が本気になったら危なかった
それを紫娜は1人で歩き出す
本当はうっすら何をしようとしているのかわかった
だけど止められるほど
俺はあいつの信念を折れる男じゃねぇ