第13章 咲いた花 あとは散るだけ
「紫娜に僕の稽古は必要ないよ」
「私の所になかなか隊士が来ないので宣伝がてらに
時透様の稽古にも興味があったし」
柱稽古が始まってから四日になる
その四日間...
誰一人来ないのは
うん...
なんでだろ...
残念ながらだれも来ないのを待ってても仕方ないから
自分から稽古に行くことにした
数週間前だったら稽古を受ける側だったんだから
たいして変わない
むしろ忙しくなったのかな
「いつまで様呼びをするの?」
「え?でも時透様は柱の方ですし」
「それは紫娜もそうだよ
それに僕達は同い年だから敬語も使わなくていいんだ」
しのぶさんとか蜜璃さんもだけど
結構気にしてたんだ...
未だに胡蝶様っていう言い方が頭をよぎるけど
「無一郎さん?」
「だから"さん"もいらないんだって」
「む、むいちろぅ...
うーん...」
首を傾げる無一郎
前は無表情の印象だったのに
今は随分自然な表情をしている
「うーん...
ちょっとだけ...姉さんって呼んでくれませんか...
じゃなくて呼んでくれない?」
「いいけど...姉さん?」
これが問題なんだ
そっくりな顔にそっくりな声
どうしても同い年と見えないというか
うっかりしてもしてなくても紫遊佐と呼んでしまいそう