第12章 癒えない傷
「紫娜...君は強いよ」
もう口を開いて下さらないと思っていたのに
ゆっくりと語る口調はどこか心地よくなるが辛そうだった
「家族が居なくなった時から
ずっと孤独だった君の周りに
今あるものはなんだい?」
私の周りにあるもの?
「不安や責任を抱え込んでいた君の目は
いつの間にか自分を持つようになっていた
君はもう孤独じゃない」
胡蝶様
炭治郎さん
不死川さん
時透様
蜜璃さん
善逸さん
伊之助さん
富岡さん
もう一人で戦わなくていいのか
「他の柱達からの異論はない
あとは君次第だ」
「全力を尽くし御館様の目となれるように
夜柱を務めさせていただきます」
数秒間
普通なら たった と感じるかもしれないけど
御館様と話した時間が数十時間のように感じた
決して苦痛だったとかじゃなくて
ただ長い時間
呼吸をするようにゆっくりと
流れていった
__________________
「紫娜さん、正式に柱になったと聞きましたので柱のみの打ち合わせをしましょうか」
蝶屋敷に帰ると胡蝶様が待っていた
昨日よりなんか落ち着いていない感じがする
「打ち合わせってなんのですか?」
「とりあえずついてきてください」