第12章 癒えない傷
手術のおかげで肺に水はなくなった
あれから体が抜け殻になったような気がするけど
心はまだ私から離れていない
確かに抜け殻だけど
本当は避けてるだけかもしれないけど
なんでか私は
もっと強くなろうって
思えた
窓に飛んできた見慣れない烏
今まで見てきた中で一番綺麗な艶をしている
昨日で機能回復訓練が終わった
まだ無理に体を動かすと絶対に
胡蝶様に怒られるけど
「錦 紫娜 久しぶりだね
体の具合が治ったら産屋敷で待っているよ」
なんかこの無茶ぶり感も懐かしい
烏は御館様の伝言を言ったのだろう
前言ってたことかな
まだ不死川さんも炭治郎さんとも話せていない
蜜璃さんも時透様とも挨拶したい
産屋敷に行けば会える気がする
上弦の鬼を倒した
記憶は飛んでるけど
時透様が頸を斬ったところまでは覚えている
行かなきゃ
胡蝶様に断ったら行ける
不思議
椿と一緒にいた時の記憶が思い出せない
脳死で死にかけた?
椿を守れなかったならそれでも良かったのかも
違う
強くなりたい
もう誰も死なせないぐらい
強くなりたい