第12章 癒えない傷
沢山の繋がれたチューブ
意識がはっきりしない
ここはどこ?
体が重たい
瞬きするのも痛みが走る
どうしてこうなってるんだろう
目を閉じる
心臓の音が静かに流れる
炭治郎さんと
不死川さんが隣で寝ていた
面はここにある
上体を起こしてみると酷い頭痛と
節々に甲高い悲鳴のようなものが骨に伝わり
結局すぐに体を倒してしまった
「起きたのか」
伊之助さん?
「おーい!!狼野郎が起きたぞ!!」
あー...懐かしいこの感じ
なんで狼野郎なの
「紫娜さん、分かりますか?」
「こ...ちょ...さま」
良かったと一言ポツリと呟くと
仕切り直したようににっこりと微笑む胡蝶様に
血の気がまた引いていく
「いいですか?紫娜さん
一緒に戦っていた時透さんに聞いて
私の推測ですが、水の中で呼吸を使いましたね?」
そうです 図星すぎて何も言えません
「そのせいで肺には水が溜まり常に溺れた状態、そして体に空気が入らず
脳死状態だったんです
言いましたよね?無理はしないと
そんなに早く死にたいようでしたら
優しい毒で殺してあげますけど」
やっぱりこわかった
「つ...ばき...は...?」
暗い顔
なんで何も言わないの?
何か言ってよ
「紫娜さんの指示のおかげで産屋敷は警戒だけで済みました
刀鍛冶の里は襲撃に備えて既に違う里に移っています」
そんなことどうでもいい
椿はどこ
「里の中を隠も含めてみんなで椿さんを探しましたが残念ながら...」
「そ...ですか」
そっか
これでもう面倒なことはなくなったのか
良かった
良かった
もう私に家族みたいなぬるい縛りはなくなったのか