第2章 紫娜の過去
集落についたのは卯の刻の初刻(朝五時ごろ)だった
嘘でしょ
家は壊され畑や田んぼは元の形を想像することさえ出来ない様子で、そこには集落の人がお互いに殺し合う情景だった。しかしもはや人ではない
鬼だ
襲いかかって来る鬼を倒さなくては行けない
しかし難しかった
"襲いかかってくる鬼"は本当は家族のように過ごしていた集落の人だからだ
「お願い!...もう...やめて!」
誰の耳にも届かない
殺すしかなかった
それ以外考えられない
行き帰りで一週間、選別にかかる時間も一週間
いつから鬼になったの?
日照時間が少ないこの集落は森の陰や竹林の陰で
至る所で日から隠れられることが出来る
集落の外には出ていっていないか
集落で生き残った人は?
向かってくる鬼が多くなってきた
何人も倒れている
何人も
何人も
何人も
何人も
何人も
誰か助けて