第17章 愛とは その四【*】
久しぶりに感じる刺激に全身が粟立ち、ぞくぞくと肌に感じる感覚が愛おしい。
自分を見下ろす熱っぽい瞳も身体に掛かる重みも全てが扉間から与えられるものだという事を実感すればする程、自分をただの女へと変えて行く。
結局、扉間を拒む事も自分の気持ちを隠し通す事も出来なかった。
ただ貪欲にその愛を欲しいと思った。
「名無し…っ」
こんな風に名前を呼ばれ求められれば身体も勝手にそれに反応する。
何もかも全てが今までとは違う。
ちゃんと互いの心がここに在るだけでこんなにも愛しく感じ合える事が出来る。
愛した男に抱かれる事がこんなにも自分を変えてしまう。
求めればすぐに触れられて手にする事が出来るこの距離感が堪らなく心地良い。
この気持ちを自分の中に留めて置く事など出来なくて、もっと言葉で伝えたいけれど、そんな想いとは裏腹に自分の口からはただ与えられる快楽に対して息と声を上げるだけ。
それでも、その合間に名前を呼べば、今まで見た事がないぐらい扇情的な瞳で見つめられ口付けを落とされる。
そのまま抱き起こされ、揺さ振られながらの激しい口付けに自然と息が上がる。
少しして唇が離れたかと思えば、今度は首筋や胸に舌を這わせられ愛撫される。
「んっ、はぁ…、だめ…」
内側と外側からの刺激に身体全体に鳥肌が立つ。
我慢出来ず首元にしがみつく様に抱き付けば、それからすぐにおかしくなってしまいそうな程の快楽に襲われる。
全身の痺れる様な感覚に声が出ない。
そんな自分の様子に気付く様に激しい動きは緩まったが、それでも規則的に揺さ振られ快楽の波が消える事はなかった。
「っ、…達してそうそう悪いが」
「ん、ちょ…待って、…ぁ」
「…もう我慢出来そうにない」
そう耳元で囁かれ、視線が合った次の瞬間には押し倒されさっきと同じ体勢で更に激しく腰を打ち付けられる。
快楽を求める激しい動きに為されるがままに声が漏れる。
達した事によって敏感になり過ぎているのか、自分の意思とは関係なく下半身に力が入る。
上から見下ろす扉間の瞳には自分が映っていて、時折細められる瞳は酷く優しかった。
その瞳を見ていると自分の意思ではどうにも出来ない程に愛おしくて自然と涙が零れ落ちる。
こんな風に愛されて幸せだと心からそう思った。