第1章 序章
『びっっっ…くりしたあ…!』
「ごめん…」
フイと俯いてしまった孤爪くんに、私は慌てて首を振る
『ううん!違うの、私がボーっとしてたからさ』
笑いかけると、「そう」と一瞥だけくれて彼はまた目を逸らす
『えっと…なんだっけ?』
「ああ、ココア。良かったらと思って」
「飲みたかったんでしょ?手の動き的にこう…」と私の真似をする孤爪くんに、なんだかおかしくなって
『…ふ、ふふ…っ
ありがとう、孤爪くん』
笑いかけるとまた、やっぱり目を逸らされる
だけどさっきより、少し嬉しそう
『りんごジュース好き?』
「…うん」
『良かった!じゃあ交換しよ!』
孤爪くんへ手を伸ばしジュースを差し出す
「ありがと」と小声で囁き、フと笑う
その顔が、凄く嬉しくて
『ねえ、私さ、もっと仲良くなりたいんだけど、教室で話しかけたら迷惑?だったりする…?』
「え?」
予想だにしなかった問い掛けだったのだろう、彼はキョトンとしている