第4章 シュプリーム
ぼけっと…
屋上から、空を眺める。
「今日も…青いなあ…」
花粉がめっちゃ飛んでるけど…
鼻しんどいけど…
空を眺めずには居られなかった。
「あの辺りに…いるのかな…?」
って、そんなわけ無いか。
死んだ人が、空に還るって…
そんなの、わかんないもん。
…いまだに…
ここ数日で起こった出来事が、現実感がなくて。
俺は、ふわふわした状態で過ごしてる。
昨日まで確かにそこにあったものが。
今日になって消滅してる。
そんな経験、何度だってしてきてるのに。
でっかすぎる喪失感を抱えたまま、俺の思考はにっちもさっちもいかなくなってて…
だから、空を眺めるしかできなくて…
国立のリハのために借り切ってる、スタジオのビル。
そんなに高くもない屋上で、俺は途方に暮れている。
メンバーやスタッフは察してくれてるのか、放っておいてくれてる。
こんな時、長年やってきた者同士…わかってくれてるっていう安心感…気遣い…助かる。
「…情けねーな…」
ぶんっと頭を振って、屋上から階段室へ出るドアに手を掛けた。
「「どあっ…」」
ドアを開けると、おっさんの声が聞こえた。