第7章 Coke+ポンパドール -Fseries-
「もお!にーの!早く!おうち行こう!とっちめてやんなきゃ!」
なんか突然怒り出した。
もお…感情がくるくる変わって、女子高生みたいじゃん…
最近本当に感情を豊かに出してくれる。
来年巣立っていくっていうのが決まってから、どんどんカズヤは前以上に俺たちに感情を見せてくれるようになった。
子供の頃に逆戻りしたみたいに…
今も…こんなにヤキモチ妬いちゃってさ。
嬉しいし、可愛いって思う。
…そして、愛おしい
「…くく…もう着くよ?」
「あ、ホントだ」
ずっと下を向いて画像処理してたから、外を見ていなかったらしい。
「笑わないでよぉ…」
「まあまあ…もしも俺の推理が当たってたら、あの人達は潤くんにやらされてるだけかもしれないから…許してあげてね?」
「もおっ!知らないよっ!おばかおばか!」
東大くんなのに、語彙をどっかにやってしまったらしい。
「くくく…」
「だから、笑っちゃ嫌だってば!」
家の近所まできたら、コインパに潤くんの車が見えた。
「もう来てるねえ…潤くん」
「そうだね…しっかし目立つ外車…」
「顔も濃いのに、車も濃いよね…」
「にーの、人のこと言えない…」
「えっ?」
「にーの、顔が薄いのに車は濃い」
「えー…」
こんな思い切り柴犬顔捕まえて、顔が薄いって…
「…本当はちびのくせにでかい車乗ってるって言いたいんじゃないの?」
「あはっ」
可愛く笑ってごまかしやがった。
「すいませんでしたねえ…でかい車好きで…」
「成金みたいな趣味だよね!」
「ええ…?」
そんなに車の趣味悪いかなあ…
そんなことを思っていたら、家に着いた。
ガレージのシャッターをリモコンで開けて、中に車を入れたら、カズヤは車を飛び降りた。
「荷物!にーのも持ってね!」
「はいはい…」