第7章 Coke+ポンパドール -Fseries-
「智…」
ぎゅっと根本を握ってる手に力を入れた。
「ひっ…あ…きついからぁ…緩めて…」
懇願するように俺を見上げた。
「言わなきゃ、イカせてやんない。このまんま出かけるよ?」
「え…やだぁ…もうちょっとなのに…」
俺のかわいこちゃんは、無意識に自分を可愛く見せる。
絶対、他の誰にも見せない…
誘惑の、かわいい顔。
「…そんな顔してもだめ」
「えー…?どんな顔…?」
「かわいい顔」
ふっ…と。
智の眉間から力が抜けた。
「…40歳になったのに…?」
「え?」
「もう…おじさんじゃん…」
「なに…そんなこと気にしてんの?」
案外…
っていうか、世間の人はどう思ってんだか知らないけど。
智は繊細で…そして、我儘だ。
この扱いにくい宝物のかわいこちゃんを、どう料理してやろうか。
「智が40なら、俺だって37になったよ?」
智は目を見開いた。
いやいや、なんでびっくりするか。
「で、でも…30代じゃん…俺だけ40…」
「なんか関係あんの?」
「おっさんじゃん」
「もともとおっさんでしょ?お互い…」
そう言ったら、ちょっと泣きそうになってる。
「潤と…俺は違う」
「はい?」
かわいこちゃんのかわいこちゃんは手の中でしぼんでいった。