第7章 Coke+ポンパドール -Fseries-
O side
「起きて。智」
「ふにゅ…」
「今日、行くんでしょ?」
「…何だっけ…?」
昼下がり。
リビングの茶色のソファでうたた寝してた俺は、潤に起こされた。
「もお…忘れたの?」
「え…?あ、そっか!行かなきゃ!」
「あんまり良く寝てたから起こしそびれたよ」
「ごめぇん」
「お昼作ったから…食べて行こ?」
「ん…」
むくりと起き上がったら、潤がちゅって俺にキスしてくれた。
あ…残り香…
俺の好きな香水つけてくれてる。
「…もっと」
「だめ」
「もっと」
「だめだってば。智、止まらなくなるだろ?」
そう言って行こうとするから、腕を掴んだ。
手首を引き寄せると、くんかくんか匂いを嗅いでやった。
「ちょ…なにしてんの?」
「この匂い好き」
「えー…まさかとは思うけど、この匂いで発情したとか?」
「俺は犬か」
でもくんかくんか止まらない。
「もお…くすぐったいってば…」
潤が手を引っ込めてしまった。
「ぶー」
「ブタさん、早くしな」
「ぶぅ…」
最近、落ち着いちゃってさ…
なんか知らないけど、俺よりも大人になっちゃってさ…
ヤキモチも焼かなくなったし。
乱暴なことも…しなくなったし。
俺が、40歳になったから…?