第5章 ブーゲンビリア-Fseries-
嬉しいって…俺も正直嬉しい。
いや、きっと俺のほうが嬉しいに決まってる。
「翔ちゃん…」
「ずっと…智くんのこと、好きだって思ってた」
そっと一歩、翔ちゃんは俺に近づいてきた。
ふわりと、翔ちゃんの匂いが漂ってくる。
「まっ…」
「ずっと…俺の運命の相手、智くんならいいなって思ってた…」
「え…?運命…?」
「うん…」
また一歩、翔ちゃんは俺に近づいてきた。
昼間より、もっと匂いが濃い気がした。
「翔ちゃ…ん…」
「俺、ずっと憧れてたんだ…智くんに…」
また一歩踏み出すと、もう至近距離。
ますます翔ちゃんの匂いが、脳みそ直撃で。
なんにも考えられなくなってくる。
「ごめんね…?智くん…」
なにが…?
「俺…もう、我慢できない…」
翔ちゃんが、俺の目の前でシャツのボタンを外した。
そのままはらりと、シャツを床に落として。
下にはなんも着てなくて。
白い胸板がやけに眩しく見えた。
「…抱いて…くれる…?」
頭の中真っ白になるほど
翔ちゃんの匂いが濃く、漂って
「翔…ちゃん…」
駄目だ。
駄目だって、まだ両思いになって数時間しか経ってないのに。
そう理性では思ってるのに、翔ちゃんの匂いが俺の思考を全部ふっとばしそう。