第5章 ブーゲンビリア-Fseries-
たまーにさ。
みんなで居るとき。
なんか、無性に…
えっちな気分になる時がある。
長年疑問だったんだよね。
なんでだろって。
だって、ここにいるのは全員男で。
それもみんなアルファかベータで。
俺もアルファで。
スタッフさんかな?って…そう思った時期もあったけど。
でも違うんだ。
違う現場に行っても、マネくんが変わっても。
それは三ヶ月に一回、必ずやってきた。
だんだん…わかってきたんだ。
いくら鈍い俺でも。
メンバーの中に、誰か…
オメガが居る。
でもさ、誰も言わないんだよね。
だからさ、そんなこと追求することなんてできなくて。
昔は、そりゃオメガに対する差別は酷いもんだった。
だけど今はもうそんな事言う人も居なくて。
特効薬が開発されて、オメガの人も発情期を難なく乗り越えられるようになったから。
たまに、薬飲み忘れたオメガの人がレイプされる事件とか起こる。
そんなとき、昔のことがニュースになったりするけど…
そんなの俺の親世代のはなしだから、どこか遠いことのように感じてた。
なのに…
もしかして、メンバーの中にオメガが居るんじゃないか。
そう気づいてしまった俺は、実はそれが気になってしょうがない。
「馬鹿だな…俺…」