第4章 シュプリーム
それを見て、稽古場中が爆笑して…
涙が出るほど笑った。
なんか…あんまり最近、稽古場でこんな雰囲気になることもなくて…
とにかく先行きが不透明だから…
ジュースひとつで、こんなに雰囲気が解れて。
なんだかすごくいいことした気分になった。
それから、スタッフさんはみんな缶を前に置いて、打ち合わせが始まった。
一口、ジュースを飲むたびに、みんなの顔が綻んで。
それがなにより、嬉しかった。
ミーティングの休憩に入ると、翔ちゃんがそっと近寄ってきた。
「雅紀ぃ…ありがとうな」
「え?」
「なんか、最近あんな笑うことなくてな…」
「…うん…」
「気を使ってくれてありがとうな」
「な、何いってんの…だって、翔ちゃんだってこの前…」
「あ?」
「俺がリフレッシュできるよう、おーちゃんちに泊める作戦、考えてくれたんでしょ?」
「あ、バレてた?」
「今度、お礼にメントスコーラ贈るねっ。お中元で」
「や、ヤメロ…」
ニヤリと笑うと、翔ちゃんもニヤリと笑い返してくれた。
「…だいぶ、立ち直ったじゃん」
「まあね…」
「癒やされるだろ…あのマイナスイオン…」
「めちゃくちゃ癒やされた…」
そう言うと、翔ちゃんは怪訝な顔を俺に向けた。